BOOK:謎の独立国家ソマリランド
- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2013/02/19
- メディア: 単行本
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読了。辺境ライター高野さんの新刊で今度は遂にソマリアへ。
普通の人ではソマリアには怖くて行けないと思うんだが、流石は高野氏。今まで彼の辺境本の中で読んだのは、イスラム飲酒紀行(ISBN:9784594064365)、未来国歌ブータン(ISBN:9784087714432)、アヘン王国潜入記(ISBN:9784087461381)だけど、その中でも抜群に面白い(しかも抜群に分厚い)。
今回は御題がソマリアということで、日本でニュースを見ていてもその名前ぐらいや海賊が跋扈していたりしていることぐらいは知識として持っていたけど、流石に現地に飛び込んで取材してきたこの本の記述レベルは一味違う。
この本ではソマリア内部を、自主独立を宣言しているソマリランド、旧ソマリアの枠組みを維持しつつも暫定政権を立ち上げたプントランド、戦国時代の様相をしめしている南部ソマリアの3地域に大きく分けて書いているのだけど、各政府(というか集団というか)の主張の背景や歴史的経緯などがリアリティを伴って理解できた。
ちなみに、文中では氏族を日本の戦国武将に喩えて記載してくれているんだけど、これが無ければ著者も心配していたように、読みきることは難しかっただろうな。
それぐらい複雑な歴史的経緯を面白く読ませる辺りが流石(著者の流儀だよね)。
自分自身では1次ソースの重要性を認識しているつもりなんだけど、高野氏のこういったノンフィクション系の本を読んだあとは、いかに通常触れているニュースが伝えていないものが多いかについて気付かされる。
この本はとてもお勧め。